アンティーク辞典
- Bookcase
- Bureau
- Cabinet
- Chest
- Cupboard
- Court cupboard
- Food cupboard
- Credenza
- Dresser
- Dressing table
- Dumb waiter
- Tripod dumb waiter
- Hall stand
- Side board
- Table
- Wardrobe
- Wash hand stand
- What-nots
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BOOKCACE ブックケース
14世紀、15世紀の英国ではまだまだ王権の確立が整わず荘園領主どうしの小競り合いや、フランスとの百年戦争、バラ戦争等が起こり政情は不安定でした。15世紀にグーテンベルグの活版印刷が発明され、徐々に書籍の流通が確立されて行きますが、依然として書物は大変に貴重なもので、多くは教会や各大学の図書館、宮殿などで保管され、一般の人々が手にすることはほとんどありませんでした。
ですから本来ブックケースとは大学の図書館などにある壁に備え付けの大型の棚のことを指しました。 また、当初は書架に固定された鎖で本を繋ぎ、書架の脇で書物を閲覧したりする方式のものもありました。(Chained Library)
17世紀に入り政情が安定し、文化、生活レベルも向上して書籍が一般にも流通し始めるようになり、小振りな書棚や扉付きの本棚が作られるようになりました。 18世紀に入り大型のガラス扉をもつ、建築の装飾を取り入れたブックケースが作られ、以後様々な形態のブックケースが登場し現在に至っています。今日では一般的にガラス扉のついた書棚をブックケースと呼ぶようです。フランスでは図書館と同じくビブリオテック『BIBLIOTHEQUE』とも呼ばれます。 -
BUREAU ビューロー
今日ライティングビューロー『WRITING BUREAU』と呼ばれているものですが、英国ではチャールズ二世(CHARLES II)の時代より後に定着した呼び名のようです。
その原形は古くから見られるバイブルボックス(聖書保管用の箱)などとも言われていますが、形状が似通っているだけで使用用途は異なりあまり正しいとは考えられません。17世紀に入り東インド会社によって中国や日本の櫃が輸入され英国内で作ったスタンドの上に飾られました。櫃とは観音開きの扉を持つ箱型の家具で表面は美しい蒔絵で装飾され、内部は大小多数の小引き出しなどで構成されていました。
これを英国内で模倣して作った家具がキャビネットオンスタンドであり、中でも扉が観音開きではなく、一枚で上部より手前に倒れるように開き、ステイと呼ばれる蝶番や、ルーパーといわれる二対の角材で支えられライティングスペースを提供する物をスクリプター、セクレタリー、エスクリトアーなどと呼びました。
内部にはやはり小引き出しや書簡を入れるピジョンホールがあり、機能的にはほぼ現在のビューローと同じとなりました。ここにバイブルボックスの形状が入り込み、機能、形状とも現在のビューローのライティング部分に近い物が生まれ、スタンドの上に据え付けられビューローオンスタンドと呼ばれる家具が作られ始めたのです。現在のようにチェストオブドロワーズが下部につく形態になるのは18世紀に入ってからの事になります。またこのビューローの上部にブックケースがのったものをビューローブックケースと呼び、特に、両脇にブックケースが付いたものを現在ではサイドバイサイドと呼びます。
俗にスチューデント ビューローと呼ばれる奥行きの薄い軽快なものも人気があります。
このようにビューローには形状、大きさ、用途に実に様々なバリエーションがあります。 -
CABINET キャビネット
キャビネット『CABINET』とは本来代々伝わる肖像画や絵画、貴重品などを飾りしまっておく小部屋のことをいいました。つまり、仕切りで区切られた空間そのものを意味しました。そこから本体に箱形の空間を持つ収納家具全体を包括的に表す意味も持つに至ったようです。
現在では一般的にキャビネットはチャイナキャビネットや、グラスキャビネットを指しますが、これらの家具が誕生したのは17世紀以降のことになります。1600年の東インド会社の設立を経て、1660年のチャールズ二世(CHARLES II )の王政復古に至り,上流階級に磁器や陶器などを蒐集し飾ることが流行しました。 時を同じくして英国において板ガラスが普及し始めました。これは、17世紀初頭よりわずかに始まっていた英国内での板ガラスの製造が、二代バッキンガム公爵 ジョージ=ヴィリアーズ(GEORGE VILLIERS )により1663年に独占権が取得され、VAUXHALLの地に生産工場が整備されて供給が安定したことによるものです。
板ガラスの普及によって、木製の板材で作られていたキャビネットの鏡板部分にガラスを嵌め込みコレクションを保管しながら見せられる家具が誕生しました。
当時コレクションとしてもっとも人気のあったものが中国などからもたらされた陶器や磁器で、それらを総称してチャイナ(CHINA)と呼ぶことも定着しました。そのチャイナを飾るキャビネット(CABINET)通称チャイナキャビネットが頻繁に製造されるようになりました。これは別にグラスキャビネットとも呼ばれます。
当時はまだ高価な板ガラスを木枠で囲み、扉や本体を作るには大変専門的な技術が必要とされました。現在でも英国において家具作りのことを総称してキャビネットメイキング(CABINET MAKING)というのはその名残りです。 -
CHEST チェスト
CHEST OF DRAWERS
中世のヨーロッパでは、本来はシンプルなただの木箱の上部に蝶番が付いた家具コファー『COFFER』(櫃)を貴重な衣類の収納に用いていました。
コファーは現在ではブランケットボックス『BLANKET BOX』と同一視されています。
CHESTは古い英語ではCESTと表記し,中世ドイツではKISTA,オランダではKISTEなどと表記されたようですが、いずれも櫃や、箱を意味する言葉であったようです。また、CHESTには人の胸部の意味もありますが、これは肋骨にかこまれた心臓を入れる箱という意味に語意が拡張したことによるものとされます。
上開きのボックス形状は下層のものがなかなか取り出しづらいことと、当時の履き物(ミュール)を衣類などと分けて収納するためにチャールズ一世(CHARLESⅠ)の時代、1600年代の中頃から深いコファーの底を二重にして引き出しドロワー(DRAWER)を付けたミュールチェスト『MULE CHEST』が富裕な階級の間で用いられるようになりました。
引き出しの機能性は衣服の収納などにも大変都合が良く、ほどなく全てを引き出しに改良したチェストオブドロワーズ『CHEST OF DRAWERS』に進化して広く普及しました。現在では主に下着、ルームウエア、リネンなどを収納するた為に用いられることが多くベッドルームファニチャーに分類されています。BACHELOR'S CHEST
これは現代に入り使われている用語なのですが、チェストオブドロワーズ『CHEST OF DRAWERS』の天板部が以前のチェスト『CHEST』のように開き、内部が浅い物入れになっている家具を指します。中は小割に仕切られていて、ハンカチやカフスなど様々なものを収納したと考えられます。中には開いた天板部の裏に鏡が付いている物もあります。18世紀中頃に登場しその後様々な機能が追加されていきました。一人でも身の回りのものを整理しやすいように便利に出来ています。
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CUPBOARD カップボード/カバード
英国のアンティーク家具においてカップボードあるいはカバード(CUPBOARD)と表記される家具があります。
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もともとは切り出された棚板や、簡単な脚の付いたサイドテーブルを意味した(BOARD)と、入れ物を意味した(CUP)が合わさりそれらを置いておく家具の呼称として14世紀に定着したものです。
しかし、16世紀の初めごろに様々な用途の収納家具が生まれ発展していく過程で、カップボード/カバード(CUPBOARD)はそれらを包括的に呼称する用語として使われるようになりました。1927年に刊行された(THE DICTIONARY OF ENGLISH FURNITURE)にはカップボードの項だけで記述に40ページを費やし、9種類の細目に分けて詳述しています。
その中には後述のワードローブ(WARDROBE)などもプレスカップボード(PRESS CUPBOARD)の派生として含まれます。 -
COURT CUPBOARD コートカップボード/コートカボード
今日で云うサイドボードに近い形状の家具です。16世紀初頭からみられ、17世紀には大変流行したようです。
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重厚なオーク材でつくられたものが多く、短い脚の付いたボックス状の両開きの木製のパネル扉を持ったベースを持ち、その天板の両サイド前面に一対の支柱を配し、バックパネルから台形、もしくは箱形のキャビネットを突き出しコーニス(CORNICE)を支えるようなデザインのものが主流です。バックパネル自体がセリ出し、薄い収納と持ち送りを兼ね、キャノピー(CANOPY ・天蓋)を支えるものもあります。ホールカップボード(HALL CUPBOARD)、パーラーカップボード(PARLOUR CUPBOARD)とも呼ばれることがあります。
凝った彫刻を持つものも多くアンティークらしい存在感を発揮します。
カップボードという用語がかなり包括的な意味をもつために、今日、サーバー(SERVER)やダムウエイター(DUMB WAITER)と呼ばれる家具の一部もコートカップボード/コートカボードと呼ばれることがあります。これは三段の板を四隅に配置した支柱で支える構造のオープンな形状の棚家具のことです。それぞれの段に厚みをもたせ、支柱部分と合わせ各時代の様式の特徴的な彫刻を施したものも多く見られます。格段の幕板部分に引き出しを備えたものもあります。(THE DICTIONARY OF ENGLISH FURNITURE)では、これらの家具をコートカボードとして紹介しています。 -
FOOD CUPBOARD フードカボード
食糧の保存のための貯蔵庫として使われたカップボード。木製のパネル扉を備えた四角い箱状の家具で、短い脚をもつものや、卓上型のもの、脚のない台輪状の大型のものもあります。フードカボードは庫内の換気のためにパネル部分などにくり抜きのある彫刻を施したものがたくさん作られました。
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フードカボードの成立の年代に基づき、ゴシック様式の建築意匠であるトレサリー(TRACERY)文様やトレフォイル(TREFOIL)文様などにそってピアースド(PIERCED:くり抜き)加工されたものや、挽物の小柱(TURNED BALUSTERS)状の柵を備えたものもあります。 -
CREDENZA クレデンザ
クレデンザ『CREDENZA』は本来イタリア語で信念や信頼を示す言葉で、英語の(CREDENCE)の語源でもあります。それが家具を表す用語になったのは、16世紀頃にこの家具が主人や、高位の聖職者に供する食べ物や、飲み物の毒味台として使われたことに由来します。現在アメリカなどではサイドボード全般に対してこの呼び名が使われますが、英国などでは少し大陸的なデザインの大きなミラーの付いたサイドボードや、ベース部分のみで上台のないサーバー状の家具などで、白い大理石の天板を備えたものなどをこう呼びます。
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DRESSER ドレッサー
中世におけるドレッサー『DRESSER』は本棚のようなオープンな形状の物を指し調理をする食材やスパイス、プレートなどを置くために使用されました。16世紀に入りその使用目的は居間などでお皿を飾ったりするためのものとなりました。
上部はオープンな棚でコーニス(CORNICE :支輪)を備え、その下のフリーズ(FRIEZE :下り壁)部分に意匠を凝らしたものが多くみられます。また、棚部分の両端、または中央にキャビネットを組み込んだものもあります。
17世紀後半から18世紀に入りその本棚状の家具の下にお皿やカトラリーを収納するための引き出し付きのサイドテーブル『SIDE TABLE』やサイドボード『SIDEBOARD』(カップボード)が加えられほぼ現在の形状となりました。その用途によって下部は収納力を重視したパネル扉を持つボックス型のものと、よりデザイン性に重きを置いたカブリオールレッグ(CABRIOLE LEG)やツイストレッグ(TWIST LEG)などの脚を持つテーブル型のものに分かれました。
また、19世紀以降にはパイン材で作られたドレッサーも多く出回り、カントリーキッチンの代表的なアイテムとして現在でも人気があります。 -
DRESSING TABLE ドレッシングテーブル
日本においては一般的に鏡台をドレッサーやドレッシングチェストと呼んだりしていますが、ドレッサーは既述の飾り棚の付いたサイドボード的な形状の家具を指し、ドレッシングチェストもやはり既述のバチェラーズチェストとほぼ同じ機能を持った家具を指します。
日本で言う鏡台の原形は化粧室に置かれた引出し付きの小振りなテーブルで、上にトイレットミラー『TOILLETTE MIRROR』と呼ばれる鏡を置いたものでした。 化粧の習慣は以前よりあり17世紀に入って一般にまで普及し、18世紀には前述のようなドレッシングテーブルまたはトイレットテーブル『TOILLETTE TABLE』が男性用、女性用共に盛んに作られました。18世紀中頃を過ぎると今まで別々であったミラーがドレッシングテーブルに固定され、一体の家具として作られるようになり、より収納性を高めるためにチェストオブドロワーズがテーブルに取ってかわる物も作られました。これが現在日本でいう鏡台とほぼ同じ形状となり、用語の混同を生んだと考えられます。
ヴィクトリアン期に入ってもその需要は高まり、ワードローブやウォッシュハンドスタンドなどと共にヴィクトリアンベッドルームスイート『VICTORIAN BEDROOM SUITES』を構成する重要な家具となりました。
ベッドルームスイートは共通のデザインモチーフを持ち、どうしてもベッドだけが主役になってしまう寝室のインテリアに新たな調和と利便性をもたらしました。 -
DUMB WAITER ダムウェイター
主にダイニングルーム(食堂)で使用された家具です。キッチンから運ばれた料理を給仕人が取り分ける時のサービングテーブルとして活用されました。18世紀中頃の大きな邸宅において二台一組のペアで用いられることが多かったようです。移動用のキャスターを備えたものが主流で、食事が終わった後にダイニングテーブルの端に移され、給仕人が下がった後に食後の飲み物をセルフサービスするためにも用いられました。
当時の食卓での話題は、政治やゴシップに関するものが多かったようで、そうした秘密の会話を外に漏らす恐れの無いモノ言わぬ家具を口の硬い給仕人に例え重宝したようです。 -
TRIPOD DUMBWAITER トリポッド ダムウェイター
また形状は大きく異なりますがトリポッド( TRIPOD :三脚 )式の脚にコラム( COLUMN :支柱 )が載り、二枚または三枚の大きさの異なる段( Tier )を備えたものもダムウエイターと呼ばれます。
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こちらは主に食後のパーラールーム( PARLOR : 客間 )や、サルーン( SALOON : 談話室 )などでお茶や食後のお酒を楽しむためのものですが、使い方が同じであるために全く異なる形状の家具が同じ名称で呼ばれるようになりました。
トリポッド式のダムウェイターは軽量で女性でも移動しやすく3点接地の脚は多少の床の不陸にも安定するためにとても便利です。デザインのバランスも良く、見栄えを重視した繊細なデザインのものが数多く作られました。
上述のものと区別するためにダムウェイターテーブルと呼ばれることもあります。 -
HALL STAND ホールスタンド
ホールスタンド『HALL STAND』は現在ごく一般的に使われている用語ですが、19世紀初めに登場したエントランスホール用の家具です。
帽子や外套等をかけるための真鍮や鉄製のフックが複数個取り付けられたパネルまたは組み板にステッキや傘などを入れる枠組みをジョイントした形状のものです。傘受けの最下部にはブリキのトレーが備えてあります。
ホールスタンドは時代を通して様々な形の物が作られました。身だしなみをチェックするための小さい鏡がついたり、衣服用のブラシや、手袋を入れるための小引出しや、上開きのフラップのついたボックスがついたり、靴を履いたりするためのベンチがついたものもあります。ホールスタンドのベンチは座面が跳ね上げ式の収納になっているものがほとんどです。
ベンチの要素の強いものはホールベンチ『HALL BENCH』と呼ばれることもあります。
玄関ホールという人目に多くふれる場所で使用されるために、見栄えや作りも重視され、本体の一部あるいは全体にカストアイロン(CAST IRON 鋳鉄)を使った物や装飾用に当時人気のあった名窯製の綺麗なタイルや、ステンドグラスがはめ込まれたりと様々です。
ヴィクトリアン期には大流行し各家に一つはあったと言われる程です。また1860年代にはベントウッド(BENTWOOD 曲木)のものも登場しました。
これと同じ用途で使用された小振りで、幅の狭いワードローブをホールローブ『HALL ROBE』といいます。 -
SIDEBOARD サイドボード
SIDEBOARD
その原形は15世紀後半からみられるサイドテーブル『SIDE TABLE』となります。様々なタイプが各時代を通してみられますが基本的には壁付けのテーブルでHALLや居間や食堂に置かれ、食事のサービング用として使用されたり、壁掛けの鏡と二対のトーチ(TORCH 燭台)と共に置かれたりしました。貴重な灯を鏡の反射で広げるように意図されたようです。
その置き場所や用途によってピアーテーブルなどと名称が変わったり、サイドボード以外のコンソールテーブルなどに派生していく物もありました。17世紀中頃に入りサイドカボードとも呼ばれ始め、その名称はコートカップボードやドレッサーなどの意味でも使われました。
その後上部にカトラリーを収納するための壺型の容器がのった二対のペディスタルとワインクーラーと一緒に置かれ、ペディスタルサイドボードと呼ばれるようになりました。18世紀後半になりそれらを別々の家具ではなくサイドテーブルを中心に統合し収納機能をもたせたトーマス=シェラトン(THOMAS SHERATON)に代表されるようなサーペンタインフロントサイドボードやボウフロントサイドボードが出現し現在の形状に近い形となってきました。
ヴィクトリアン期の豪奢なサイドボードを経て現在の形となるのですが、中には上部に鏡が付くミラーバックサイドボード『MIRROR BUCK SIDE BOARD』と呼ばれるものもあり、これは前述のHALLで明り取りの燭台とそれを反射させる鏡と一緒に用いられた頃の名残りと考えられます。BUFFET
もともとフランス語が語源とされ、イギリスでは16世紀に入りその名を冠する家具が使われはじめました。その名が示すとおり本来はダイニングの際に使用され、サービングのため銀器や食器類が置かれました。
形状は基本的に3~4枚の棚が4本の支柱に固定された物でしたが、当時サイドテーブルやコートカップボードなども同じ用途で使用され同様にビュッフェとも呼ばれたりしました。17世紀後半に入り殆どその姿が見られなくなりましたが、18世紀中頃よりTHE GILLOWSやSHERATONが食器類をディスプレイしたり収納したりする棚付きのカップボードにフランス風の名称であるビュッフェという用語を使いはじめ、現在においてはその用語が示す内容に多少の混同が見られます。 -
TABLE テーブル
CONSOLE TABLE
サイドボードの原形といわれる壁付けのサイドテーブルより派生したと考えられます。コンソールという言葉自体はもともと建築用語で、軒、支輪(CORNICE)を支える巻型(SCROL)の持ち送り、または腕木(BRACKET)の部分を指すものです。天板の端を壁に固定され支えとして前脚が付く、基本的に単体では自立しない壁付けのテーブルをコンソールテーブルといいました。
18世紀初頭にフランスより紹介され様々なデザインの物が作られ、天板に大理石を使用したり、脚部が動物の彫刻で金箔が貼られたり、脚部全体が翼をひろげた鷲だったりと少々グロテスクですが豪華な物も作られました。
HALLなどの人目につく場所に置かれ、デザインを合わせた壁付の鏡などと組み合わせて使われることも多かったようです。
現在では自立するしないにかかわらず、壁付けの小振りなテーブルを総称してコンソールテーブルと呼ぶようです。DRAW-LEAF TABLE
現在、英国のアンティーク家具のなかではもっともポピュラーな伸長式のテーブルです。主天板の下に左右二枚の天板が仕込まれ、引き出すことにより天板のサイズが変わります。その原形は16世紀後半に登場し、サイズも大きくリフェクトリーテーブル並みの物がほとんどでした。 17世紀中頃まで良く作られましたが、その後はその伸長式の構造が色々な家具に応用されるばかりで、あまりドローリーフテーブル自体は作られなくなりました。しかし1900年代に入り折衷様式の流行とともにリバイバルし、当時の住宅環境に合うようサイズダウンされた物が作られましたが、構造的には16世紀ものと殆ど変わることはありません。
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単純な引き出し式の構造に見えますが片側だけのリーフを引き出した状態でも主天板とリーフに段差が生じずに、スムーズに開閉出来る様にレールの角度などに工夫が凝らされています。GATE-LEG TABLE
3枚に分かれた天板がフラップヒンジと言われる蝶番でつながり、収納時には両脇の天板は垂れ下がった状態で、使用時にはその2枚の天板を持ち上げ、それらを支えるために補助の脚がゲート(門)のように開閉し出てくるところからゲートレッグテーブル『GATELEG TABLE』の名称がつきました。16世紀後半に登場し、当時はフォーリングテーブル『FALLING TABLE』と呼ばれており、18世紀後半まで様々なデザインにおいて作られました。天板折りたたみの構造はほかの家具にも流用され、近しいところではサザーランドテーブル『SUTHERLAND TABLE』やブレックファストテーブル『BRECKFAST TABLE』などと呼ばれる家具も登場しました。これらのテーブルは天板をたたんだ時にコンパクトになり、壁際や、ソファ脇にも置いておけるために重宝されました。いずれも比較的小振りなサイズのものが主流です。
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ゲートレッグテーブルの名称はおそらく19世紀中頃より使われはじめたのではないかと推測されます。
現在では俗称ですが折りたたみ式のテーブルを総称してドロップリーフテーブルやバタフライテーブルなどと呼ぶこともあります。1900年代に入り、やはりこの家具も折衷様式とともにリバイバルしましたが、ドローリーフテーブルと同様構造的に変化したところは殆どありません。NEST OF TABLES
一般にはネストテーブルとも称される3~4台、まれに5台の小さなテーブルが入れ子式に組み合わさった小振りなテーブルセットです。ここでのネスト(NEST)は入れ子式という意味になります。
一番小さいテーブルを除くそれぞれのテーブルの天板の裏側には次に小さいテーブルを格納するためのガイドレールが取り付けられており、小さいテーブルは格納時には大きいテーブルに吊られて脚が浮いた状態になります。
円形のテーブルに4台に等分された扇型の小テーブルが組み合わされたものや、長方形の天板の短手左右から一対の小テーブルが出るタイプのものなどもあります。
19世紀になってから広く普及し、主にリビング等で使用されました。SHERATONの文献には3組のものをTORIO TABLES、4組のものをQUARTETTO TABLESとする記述がみられます。
20世紀に入ってからも作り続けられ、ガラスの天板を備えたものもポピュラーです。OCCASIONAL TABLES
その名が示すように様々な用途に使われる小振りのテーブルの総称です。18世紀に入り作られはじめ、SHERATON の1803年のTHE CABINET DICTIONARYにそのイラストとオケージョナルテーブルという用語が認められます。多種多様な材やデザインで作られ,使い方によって、ランプテーブル『LAMP TABLE』フラワーテーブル『FLOWER TABLE』などと呼びかたが変わることもあります。
PIER TABLE
コンソールテーブルと同様壁付けの小振りなテーブルを指します。ピアーという言葉もやはり建築用語でアーチを支える支柱や橋脚、高窓と高窓の間の窓間壁(まどあいかべ)をピアーといいます。この窓間壁に置かれた壁付けのテーブルをピアーテーブルといいコンソールテーブルとは違い、基本的に自立するものをいいました。加えてピアーテーブルは装飾的な細長い壁付けの鏡と良くセットで置かれ、この窓間壁にかけられた鏡をピアーグラスと呼びました。
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長方形の大きいダイニング用のテーブルをいいます。リフェクトリーという言葉の意味は修道院や大学などの大食堂を指し、そこで使用される大人数で食事をとるための細長い大きなテーブルを総称してリフェクトリーテーブルと呼ぶようになりました。現在のアンティーク市場で見られるものはオーク材やウォルナット材でつくられたものが多いようです。
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いずれも天板は厚みのある無垢材を使用することが多いため、湿度変化による木材の伸縮に対応するために実組(さねぐみ)などで繋ぎ、木釘(WOODEN PEG)などで固定したものが多く、素朴で堅牢な作りと使い込まれた独特の風合いはアンティークらしい存在感を発揮するために人気があります。また、近年ではモダンなリビングダイニングに置かれることも多くインテリアの良いアクセントになっています。
通常のテーブルよりも低い位置に補強材としてH型のストレッチャー(STRETCHERS 貫)を備えたものが多くデザインの特徴にもなっています。
16世紀中頃に登場し17世紀を通して作られましたが、18世紀に入り家具の装飾の方法が変化し、また食事習慣や住宅環境も変化したこともあり、殆ど作られることはなくなりましたが、やはり既述のドローリーフテーブルと同様に1900年代に入り折衷様式とともにリバイバルし当時の住宅環境に合うようサイズダウンされた物が作られました。 -
WARDROBE ワードローブ
ワードローブ『WARDROBE』という言葉は本来その人の持つ衣類のストックと、それを保管しておく部屋を意味するものとされています。
もとはフランス語のGARDEROBEから転じたもので、GARDERは(守る、維持する)、ROBEは(衣服)を意味します。現在の形状の家具を指すようになったのは18世紀中頃になってからと思われます。その原形は16世紀頃から見られるプレス『PRESS』と呼ばれた大型の収納家具で、中には棚板が仕込まれていました。当初はカップボード/カバード『CUPBOARD』のように様々なものを収納していたと考えられますが、 その後衣類やリネン専用の収納家具だけをプレスと呼ぶようになりました。やがて、ワードローブに置かれていたプレスそのものもワードローブと呼称されるようになったようです。
そのような流れから、1927年に刊行されたラルフ=エドワーズ(RALPH EDWARDS)著の(THE DICTIONARY OF ENGLISH FURNITURE)では、ワードローブはCUPBOARDの項目で紹介されています。
やはりヴィクトリアンベッドルームスイート『VICTORIAN BEDROOM SUITES』を構成する家具のひとつとなりました。
また、大きな面を持つ家具であるために殺風景にならないように、表面に彫刻などの装飾を施したり、杢目の綺麗な植民地からの輸入木材(エキゾチックウッド)をベニヤ貼りにしたり、ペイントをしたものも当初から作られています。 -
COMPACTOM WARDROBE コンパクトム ワードローブ
1920年代にはロンドンのBOVIS Ltdによりコンパクトム ワードローブ『COMPACTOM WARDROBE』と名付けられた、ハンカチーフや手袋、カラーなどをそれぞれに収納可能なラベルの付いた引き出しや、スチール製のトラウザー掛け、ネクタイ用のタイラック、伸長式のハンガーラックなどを備えた多機能なワードローブが発売され人気を博しました。
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こちらは以前のワードローブと違い非常にシンプルな外観のものが多く、扉を開けた時のインテリアの面白さをより引き立たせているようです。 -
WASHSTAND ウォッシュスタンド/ウォッシングスタンド
現在日本で言われているウォッシュスタンドの正式な名称はウォッシュハンドスタンド『WASH HAND STAND』となります。ウォッシュスタンドとは15世紀以前からあるのですが、3本以上の支柱によりボウルを支え、顔や手を洗ったりするのに使いました。 形状は今で言う少し背の高いプランツスタンド的な物を想像していただければ遠くありません。
現在、アンティーク市場で良く見られるウォッシュハンドスタンドは19世紀に登場しました。ジャグ&ボウル(JAG&BOWL 水差しと洗面器)をのせるために大理石が天板に使われ、とスプラッシュバック(SPLASH BACK)やウォッシュボード(WASHBOARD)と呼ばれるつい立て部分と共に耐水性の要求を満たしました。後にスプラッシュバックの大理石部分をガラスやタイルに置き換えた物も作られ、さらに上部に鏡をつけた豪華なものも作られました。ジャグ&ボウル(JAG&BOWL)などを収納する機能も追加されるなど工夫されました。 オフィスや書斎用などでは外見的にはチェストオブドロワーズやカップボードで、天板部を開くとボウルが埋め込まれているなどのエンクローズタイプの物がよく使用されました。既述のドレッシングテーブルと同様にヴィクトリアンベッドルームスイートを構成する家具の一つとなります。 -
WHAT-NOTS ワットノット
ダムウェイター『DUMB WAITER』またはコートカボード『COURT CUPBOARD』と呼ばれる家具に似た形状のもので ワットノット 『WHAT-NOTS』と呼ばれる家具があります。ワットノットとは、『なんでもあり、何やら彼やら』と云うような意味になりますが、やはりオープンな形状で四隅にコラムを配置した棚家具です。用語としては1800年頃のGILLOW’S COST BOOKSに紹介した例があります。ワットノット『WHAT-NOTS』は主にパーラールーム ( PARLOR ROOM : 応接間 )に置かれ、お気に入りのコレクションなどを飾るための飾り棚として人気がありました。当時の邸宅ではパーラールームを備えることが流行しステータスでもありました。パーラールームにはパーラーキャビネットなどの装飾性の高い家具が置かれました。
趣味性の強い家具であるためにワットノットはディテールに凝ったものも数多く作られました。フランス風にオルモル(ORMOLU)と呼ばれる金属製のアクセント金具をあしらったものもあります。ダムウェイターと比べてやや小振りで繊細なものが多く、素材もマホガニーや、ウォールナットは勿論、ローズウッドなどの当時としても高級な木材が用いられることも多かったようです。
また、デザインも多様化していきコーナーに置くためのものや、ライティングテーブルの機能を持たせたものなど実に豊かなバリエーションが存在します。