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2024/01/27 | スタッフの日常
1月27日 大曲 美生
国立西洋美術館で開催中の「キュビズム展」に行ってきました。
またもや会期ぎりぎり…チケットを買う行列に並んだのは久しぶりでした。
来年から大規模改修工事に入るパリのポンピドゥーセンターからの出展をメインに、
国内の美術館の所蔵品も含めた展示会で、
「50年に一度」と言われるのほどの大規模なキュビズム特集です。
日本初出展の作品もいくつもありました。
まずはピカソやブラックなどのちの代表的なキュビストたちにがつんと影響を与えた、セザンヌの作品から。
セザンヌ独特の色合いや、写実的ではない(写実的に描くのはあまり上手くなかったとも?)のにその風景が目に浮かぶような感覚、
やっぱりセザンヌ好きだわー!と再認識。
見たままではなく、対象を様々な角度から捉えて、それを一つの画面上で融合させるというセザンヌの手法が、
キュビズムにつながっていきます。
”プリミティブ”なアフリカ芸術もパリの画家たちに衝撃を与えたそうで、
芸術評論家アポリネールが所有していた木彫りの人形などの展示もありました。
新しいものも柔軟に取り入れていった、当時の芸術家たちのワクワク感が伝わりました。
お次はピカソとブラックがキュビズムの手法に目覚めて、
二人が意気投合し表現方法も色々と試しながら生み出していった、第一次大戦勃発前までの作品群。
これこそ私の思うキュビズムのイメージ!という作品ばかりで、
展示会序盤にもかかわらず既にお腹いっぱいになりかけます。
でも正直なところ何が描いてあるかわからないものも多く…
なんとなく好きだけれど、どれが人の顔?手?足?と混乱した作品、ピカソの「ギター奏者」。
写真OKでした。
この作品の前でじっと立ち止まって頭を悩ませていたら、
私の後ろにいた男性が小さな声で「んーわからん…」と言っているのが聞こえてきて、
うっかり振り返って「ね!やっぱりわからないですよね!!」と叫びそうになりました。
…いま改めて見ると、たしかに人の形はしているような気がしてきました。
ピカソ、ブラック以外にもたくさんのキュビストたちがいて、
それぞれが自分なりの表現をあれこれ試している作品たちもこのあとに続きます。
第一次大戦が始まると兵隊に取られた画家がいたり、
パリでピカソ、ブラックの作品を扱っていたギャラリーのオーナーがドイツ人だったために亡命したりと、
それまで通りに活動はできなくなるのですが、
以降もキュビズムブームは残り、
東欧からもパリのサロンに出品するキュビストがいたり、抽象主義につながっていったり、
モダニズムという大きな時代のうねりの中で存在感を示します。
キュビズムは当時の芸術家なら皆一度は通る道、のようになっていたそうです。
あのル・コルビジェのキュビズム的な絵画作品もあって驚きました。
2時間ほどかけて最初から最後までキュビズムを浴び続けて、
もともと「キュビズムってなんだかわかりにくい…」と苦手意識があったこともあり、結構疲れました。
それでも時系列に整理された流れの中で見ることができ、
また様々なバリエーションを見て、それぞれに影響を受けた物事や根底にある思想、経験などと合わせて理解できて、
最後には良い満足感を得ることができました。
これだけたくさんの作品を見て、慣れてきた感覚もあるので、
今後もキュビズムどんと来い!という気持ちです。