GEOGRAPHICA

モネ展

2023/12/22 | スタッフの日常

12月22日 白水萌菜美

先日、ただ今上野の森美術館で開催されている「モネ 連作の情景」の展示に行ってきました。
「100%モネ」という謳い文句の通り今回の展示は全てがモネの作品!
これまでにもモネの絵は企画展などで見たことがあったのですが、モネオンリーの展示は初めてです。

展示場は100%モネの効果か会期にまだ余裕のある平日でも大賑わいで、一つの絵を見るのにも一苦労な状態でした!
こんなに混んでいる展示はまだデジタルチケットやオンライン予約の概念がほとんど無かったコロナ禍になる前の展示
以来で懐かしく、一周回って逆に苦じゃ無かったです。

会場に入ると初めにあるのは今回のメインでもある「睡蓮」の上を歩く体験コーナー。
一見モネのハスの絵が投影されたただの床なのですが、歩くたびにグシュ…という音と共に水の上に浮く
蓮の葉を踏んで少し沈むような触感がします。
何とも言葉では表現しづらい体験なのですが妙なリアル具合が面白いです。

以降はモネの人生に凡そ沿って時系列順に作品が展示されています。
今回のテーマが連作とある通り、同じモチーフ、風景をいくつもの視点、角度から描いたものが多く、
中でも印象的だったのは崖、海とそこに建つ小屋のモチーフを数年越しに2枚描いた作品。
1枚は小屋をメインに据え崖や海、空は背景として描かれていましたが2枚目ではガラリと雰囲気が変わります。
空と海が主役になり波や雲の表現がつぶさに描かれ、
かわりに小屋は崖とほぼ同じタッチで前景として描かれているのです。
1枚目ではあんなに目立っていた小屋がこんな端役のような扱いに…!
同じ被写体、ほぼ同じ構図であるにもかかわらずモネが何を描きたいのか、何を見ているのかで
こうも同じ作者から出力される作品が変わるのか!と何度も絵の前を行き来して違いっぷりを楽しみました。


もう一つ楽しかったのはモネら印象派の代表的な「筆触技法」。
これは混色による色の濁りを避け、見たままの鮮やかさを鑑賞者に伝えるために隣同士に
異なる色を置くことで鑑賞の際には隣接する色が鑑賞者の網膜で疑似的に混ざり、
二つの異なる色が一つの色に見える目の錯覚を用いた技法です。
普段画面や図版越しに絵全体を見ると混ざった状態で見えますが、
展示では近くに寄って元の隣り合った色をじっくり見ることができるのです!
そして私は裸眼だとまあまあ目が悪いので同じ場所から眼鏡をかけて外してを繰り返すだけで
混色と元の色の状態どちらもを味わえます!一度の鑑賞で二つの見え方が味わえて
何だかお得な気分になっちゃいますね。
裸眼だと全体に茶〜黄緑色の草原に見えるところが眼鏡をかけると
ものすごく細かな青や黄、時に赤のタッチで構成されていたりします。
この技法を体感するのが楽しくて仕方なく、ほぼ全ての絵でやっていたところ相当な鑑賞時間になっていました。

モネをこれでもかと満喫し最後に混みがすごいと噂されていたショップコーナーへ。
入るまで15分程待ったものの思っていたよりもスムーズに入れました。
気に入った絵のポストカードも買えて大満足です!
ポストカードサイズまで小さくなるとまた混色による見え方の具合が変わるのか
はたまた印刷の風合いかまた少し違った印象に。
どちらも素敵ですがやはり元の雰囲気は変え難い良さがありますね。
今後も印象派の展示には積極的に足を運んでいきたいです!