GEOGRAPHICA

夢中で

2023/08/13 | スタッフの日常

8月13日 大曲 美生

久しぶりに一冊の本を一気読みしました。

発売されたばかりのこちら「動物たちはなにをしゃべっているのか?」。

鳥類、主にシジュウカラの研究者である鈴木俊貴先生と、
ゴリラ研究の世界的権威である山極寿一先生による対談形式の書籍です。
お二人とも、動物のコミュニケーションについての研究をされていて、
シジュウカラ語がわかるし、ゴリラ語がわかります。すごい。
鳥類と霊長類の共通するところ、違うところ、また人間との共通点は?など、
様々な視点から生き物のコミュニケーション、言語についてのお話が繰り広げられます。
シジュウカラも文法を持つとか、ゴリラは人間をからかって遊ぶとか、
へぇ〜と思わされるエピソードが満載。

これまで「人間vs動物」の構図で語られることがほとんどだった「ことば」について、
人間だって動物の一種でしかないのだから特別視するのはおかしい、
という指摘が序盤にあり、まずそこでハッとさせられます。
人間ができるけれど動物にはできないことの差を考えてばかりいたけれど、その逆だってあるよね、
というお話。

そもそもコミュニケーションの根幹は人間も動物も同じなのでは?という仮説に行きつくのですが、
現代の人間社会では科学技術の急激な発展により言葉だけが暴走して、
本来の人間のキャパシティを超えてしまい、様々な社会問題が起きてしまっているのではないか、
という問題提起でこの本は締めくくられます。

対談形式で読みやすいということもあり、どんどんのめり込んでしまい、
鳥とサルの話をしていたのに最後にはまさかの自分自身にまで問題意識が向けられていて、
緊張しつつもページをめくり続け、気づけば数時間かけて一気読み。
素晴らしい読書体験になりました。