GEOGRAPHICA

Immersive Museum

2022/08/02 | スタッフの日常

8月2日 大曲 美生

ちょっと面白い美術体験をしてきました。
日本橋三井ホールで開催中の、「Immersive Museum」。
そのタイトルの通り、絵画への”没入”体験ができるという企画です。

展示会場は大きな四角い一部屋のみ。
四方の壁がすべてスクリーンになっていて、
映像が画面いっぱいに映し出されます。
床にはビーズクッションや小さな丸クッションがいくつか置かれていて、
部屋の角にはすのこで組んだ、軽く座れる階段が用意されています。
各々が落ち着ける場所を見つけたら、空間全体に包まれるようにして絵を体感する仕組み。

テーマは印象派絵画。日本人は特に印象派が好きだそうですね。

まずは港の工場や倉庫群の朝焼けの写真?のような画面から始まり、
ぼんやりと見ているといつの間にか、あの「印象、日の出」の絵になっていました。
真っ赤に昇った太陽に思わず眩しい、と目を細めてしまうようなリアルさがありました。
次はスクリーンが美術館の壁になり、ぐるりと有名な絵画たちが並んでいる演出。
美術館の床に座り込んで絵を見上げるような不思議な感じです。

そのあとは一つの絵が画面に額縁ごと大写しになったと思ったらぐんぐんズームしていき、
絵の中に観客は飲み込まれていきます。
筆触をあえて残す描き方を生かして、
何層にも重なった、一筆ごとに異なる色がはらはらとバラけてこちらに迫ってくる感覚。

ルノアールの描いた人物も最後は明るい色彩のかけらとなって降りかかり、
カイユボットの描くイエール川の水面はゆらゆらと揺れてきらめき、
ピサロの描くモンマルトル大通りにドローンのような視点でふんわりと入り込む。
これぞまさに、没入体験でした。

そのほかには、モネのルーアン大聖堂や積みわらの連作を次々に重ねるようにして、色や表現の変化を楽しんだり、
睡蓮の庭にかかった橋の下をくぐれそうなところまで”没入”したり。
最新の映像技術を駆使した新しい絵画体験でした。

会場を出たあとはコラボメニューのドリンクやかき氷を楽しめます!
若い世代やお子様もたくさん来場していて、
とても夏休みらしい、楽しい美術イベントでした。