GEOGRAPHICA

歌舞伎

2022/02/27 | スタッフの日常

2月27日 大曲 美生

先週、歌舞伎座に行ってきました。
演目は、三大名作といわれる義経千本桜から「渡海屋」と「大物浦」、
いわゆる「碇知盛」です。
これを十五代目片岡仁左衛門丈が一世一代で演じるというとても貴重な機会でした。

4名で行ったのですが、感染対策のため座席は最大2名ずつしか隣合わず、
間に1席空けて座るようになっています。
本当はぎっしり満席になるはずの大舞台、仕方ない状況とはいえ少し寂しいことです。

かなり久しぶりの歌舞伎。
今回チケットを取ってくださった方がお詳しい方で、
事前に台本をPDFにして送ってくださったのですが、
鑑賞前日にその台本を読んでいたら自分でもびっくりするくらい泣けてしまい…。

普段、映画やお芝居はあまり前情報を入れずに見て楽しむのが好きなのですが、
歌舞伎に関してはオチまであらかじめわかっていても、というかむしろわかっていた方が、
本番も楽しむことができるのですね。
物語の盛り上がるポイントがわかるというだけでなく、
セリフや浄瑠璃に出てくる耳馴染みのない言葉も、全てとは行かないまでも大部分を理解することができるので、
お話に集中して感情移入することができました。

本番も、やはりボロ泣きでした。
あらすじを詳しく書くと長くなるので割愛しますが、
武士のプライドや執念、主君への忠誠、そして天皇という絶対的な存在への忠義心、
そして見守り祈ることしかできないけれど一緒に覚悟を決める女性たち…涙ポイントが多すぎるのです。
仁左衛門丈の迫真の演技、放つオーラにも圧倒されました。
台本のおかげで次のセリフはわかっているのに、いざ仁左衛門丈が口にすると、
ぐぐぐっと心に迫ってくるものがある、あの不思議。
これが名役者なのかと、素直に感動しました。

今回の歌舞伎鑑賞で、その魅力に心を掴まれました。
またすぐにでも見に行きたい気持ちです。
物語の完成度、様式美のかっこよさ、お約束事の中でも光る役者ごとの個性や創意工夫、
終演後にうっかり買い込んでしまうお土産まで、見どころ満載の歌舞伎。
またしっかり予習をして、別の演目も楽しめたらと思います。