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2021/12/19 | スタッフの日常
12月19日 大曲 美生
古本屋さんで「5冊で100円」という破格の棚から見つけた、
池波正太郎著『食卓の情景』を読んでいます。
池波氏が週刊朝日で連載していたものをまとめた本で、
初版は昭和50年ですが、令和になった今読んでも、本当に楽しいです。
極上の「食レポ」本です。
戦前の、幼少だった正太郎少年が限られたお小遣いの中から楽しみにしていた下町の屋台飯から、
”株屋”をやっていてお財布事情が良かったころに食べたちょっと贅沢な外食、
作家になってから日本各地を訪れるたびに食した美味しいもの、
自宅でお母様や奥様が作ってくれる家庭料理まで…
実に様々な食卓の情景が描かれています。
そのグルメぶりがよく知られる池波氏ですが、
本当によく飲みよく食べていたことがわかります。
そして食事の楽しみ方が、全てにおいて粋です。
食べ物の味だけではなくて、そのお店に向かう道中の様子や、
店構え、給仕の方の動きなど、全体を観察し、
その中で自分なりの楽しむ方法を知っている様子がかっこいいのです。
こういう大人になりたいなあ、としみじみ思います。
今ではもうなくなってしまったお店も多く出てくるのですが、
私にとって特に印象的で、ラッキーなことに今も残っている名店が、
伊賀市にある「金谷」。
ここで伊賀牛のバター焼きと関西風のすき焼きを食したエピソードがあるのですが、
完全にハートを掴まれました。読みながらよだれが出るようでした。
割り下で煮込む関東風のすき焼きしか体験したことがなく、
牛脂でお肉を焼いて醤油と砂糖をまぶして…という関西風すき焼きに強い憧れがあるので、
すぐにお店をGoogle検索して、発見!即、ブックマークです。
美味しいものを目的に旅をする、楽しみがまた増えました。