GEOGRAPHICA

一番弟子の称号

2020/10/15 | スタッフの日常

10月14日 土田麦菜

モリスのファブリックで張り替えた特別なチェアーやソファーが、
今回の照明特集に合わせて入荷しています。

そのうちのひとつである、ウイングバックソファーを簡単にご紹介致します。

こちらの1Pソファーで使用した生地は、MORRIS & Coのアーカイブコレクションである"Montreal"
モリス商会でカーペットとしてデザインされたものが原案となっており、
当時モリス商会の主流であったオリエンタルスタイルと比べ、最も落ち着いたデザインであったとされています。

そしてこのデザインした人物こそ、モリスの一番弟子と言われる”ジョン・ヘンリー・ダール”です。

ジョン・ヘンリー・ダールは18歳の頃、オックスフォード通りのモリス商会の店舗で助手として雇われます。
元は画学生であり、ラファエル前派の影響を受けたアーティストでもある彼はモリスに師事し、
モリスが社会主義運動に力を入れ始めるようになってからも工房の監督を引き継ぎ、その後の商会を引っ張る存在となっていきます。

始めはタペストリー制作のために雇われたものの、手がけたデザインは多岐に渡り、
壁紙や織物、カーペットやステンドグラスなど、数多くのテキスタイルデザインを残しています。

現在も根強い人気を誇る、ComptonやGolden Lily、Blackthorn、Seaweedなどなど、
モリスのスタイルを完全な形で踏破し、それは『モリスよりもモリスらしい』と言わしめるほど。

モリスのスタイルや美学を受け継いだダールの作品は19世紀の最後、成熟した独自の感性を認められ芸術的な評価を受けるのでした。
ダールは50年の年月に渡り商会のアートディレクターを務め上げています。

そんな人物がデザインした"Montreal"
ウイングバックソファーはファブリックの面が広いので、存分にそのデザインを楽しむことが出来るアイテムです。
柄が大きいにもかかわらず、全体は落ち着いたトーンでまとめられていて、日本の住宅にもするっと馴染む懐の深さを感じます。

体に触れる部分がほぼクッション、ということで座り心地も抜群です。