GEOGRAPHICA

琥珀のまたたき

2020/04/12 | スタッフの日常

4月12日 須田涼子

家に居る時間が多くなり、本を読む時間も増えました。
先日は小川洋子さんの『琥珀のまたたき』を読み直し。


末娘の死をきっかけに、残った3兄妹たちを魔犬から守るため、高い壁に囲まれた屋敷の中でいくつかの禁止事項を決めて生活する親子、
その壁の中での3兄妹の生活と、時が経った現在を交えながらお話が進んでいきます。

精神を病み、子供達を監禁することでしか魔犬から守れないと固く信じる母親は、でも子供達にはとても優しく慈しみ、
また子供達は壁の中で禁止事項を守りながら、3人で仲良く工夫して楽しく過ごす。
かなり特殊で残酷な状況でも、小川さんの透明感のある文章と描写で、キラキラしていて、優しく、楽しく、ある種の羨ましさを感じるような、
純粋で澄んだ、幻想的な世界に昇華しています。

コラージュのような装丁も素敵、好きな作品です。