GEOGRAPHICA

イギリスの名窯

2020/02/15 | スタッフの日常

2月15日 土田麦菜

ちょうど7ヶ月ぶりに、当ブログへ帰ってまいりました。
みなさまお久しぶりでございます。

1年を通したイベントの中でも大好きな紅茶フェアーに間に合い嬉しい限りです。
初めて取り扱う紅茶も入り、3つのテーマによって構成された今回のフェアー、
みなさま店頭にはお越しいただけたでしょうか。
残すところ10日ほどとなりましたので、まだご覧いただいてないお客様はどうぞお急ぎください!

シノワズリが今回のテーマの一部となっておりますので、
ブログでもブルーウィローが度々取り上げられておりますが、
今回はブルー&ホワイトの中でもとりわけ人気の高いスポード社のアイテムをご紹介します。

スポード社は、18世紀末、ジョサイア・スポードによって、
英国における焼き物のメッカ、ストークオントレントにて創業した名窯です。
スポード社は銅版写技術による絵付けの技法を編み出し、中国の美しい白磁を彷彿とさせる"ボーンチャイナ"を完成させました。
さらに陶器と磁器の両方の長所をも併せ持つストーンウェアも開発し、革新的な技法で製造技術力を底上げ、
その功績を称えられ、1806年にはロイヤルワラントの称号を授かっています。

そしてスポード社といえばこちらのパターン。

2代目ジョサイアの監督下で1816年に発表された"ブルーイタリアン"は、言わずと知れたスポード社の代表作。

この頃、イギリスの良家の子弟を中心にグランドツアー(古典的教養を得るために国外を周る見聞旅行)が流行し、
古代ローマなどの遺跡が多くルネサンスの中心地であるイタリアがとりわけ人気が高かったそうです。
それにより東洋趣味から、西洋への憧れに時代が移り変わっていく転換期でもありました。
話は戻りますが、ブルーイタリアンに描かれているのは、緻密に再現された17世紀頃のローマの風景画を、
古伊万里の装飾模様で縁取るモチーフとなっています。(撮った写真がデミタスカップでよく見えずすみません)
まさに東洋の美と西洋の当時のトレンドを如才なく融合し、その結果、200年以上経過した今もなお世界中で愛される定番品となったのでした。

もう一つは人気のブルールームのシリーズである"井戸端の少女"が描かれたプレート。
アーカイブコレクションの一つで有名ですが、オリジナルは1822年にデザインされました。
こちらはバックスタンプから、そのオリジナルに近い19世紀初頭のものと思われます。

表と同じ染料のSPODEの文字に、手押しのため削れてしまいSPODとなってしまっている刻印、
もうひとつ職人のマーク(b?q?)が入っています。
アーリースポードらしく、若干淡い色合いです。

ブルーイタリアンなどのデザインは、ブルーウィローより西洋のエッセンスが強いので、
他のデコラティブな陶器やアンティークキャビネットとの相性も良いですよ。


久しぶりのブログで際限なく書いてしまいそうなのでこの辺で!