1月31日 佐藤大文
遅ればせながら、あけましておめでとうございます。塗装の佐藤です。
皆様いかがお過ごしでしたでしょうか。毎年のことですが、新年が明けてから早くも1月が終わります。
改めまして、浦島太郎です。我々は旧年と変わらず家具を仕上げていきます。本年も宜しくお願い致します。
さて、早々に久しぶりに塗装らしい内容を紹介したいと思います。
あまり物の少ない小振りで細身のチェストです。
特に損傷があるわけでもありません。普通に使う分にはコンディションは通常のチェストです。
ですが塗装からの視点では問題があります。
下の写真を御覧下さい。
どうでしょうか。左右と側板の色味が違います。そうです、日焼けです。
右の頬を差し出さずに左の頬を太陽光に差し出し続けた結果でしょうか。他の部位と比べると赤みが足りません。
太陽光に含まれる紫外線は赤の色素をより分解する性質を持つそうです。
色素だけが褪せた塗装面はケンマロンやペーパーで軽く削って落とし、色を入れ直した方が早い場合もあります。塗装面の厚みがある程度残っていると、表面削りのみのステインの色の重ねだけでは他の部位の濃さに追いつかないことが多いからです。こういった見極めは実際に家具に向き合ってみないと感触がわかりづらいとは思います。
早速日焼けした面だけ荒いペーパーで削ります。塗膜が薄くなるほどステインの色は入りやすくなります。あとは削りムラのリスクを考えて荒めのケンマロンで面を慣らします。それによって均一に面を整えて色の入りを良くします。
あとはステインを入れてニスの工程を繰り返します。幸い、色ムラにはならず安定した塗面ができあがりました。左右正面どこからみても色味のバランスが出ました。ニスの光沢で発色も変わりますので、色の微調整には気をつけます。塗り替えのニスの質感を他の部位とあわせることも同様に全体を見ながら調整します。仕上げには調和を重んずる目が必要なのです。
完品したチェスト、三面プロポーションでした。見違えましたね。良かったですね。
というわけで、遅れた新年の挨拶代わりに御送りしました家具の日焼けの話。昨年の抱負を守らなかったこともなかったことのように今年もあっけらかんと行きたいと思います。なるべく毎月、知って何となく得をする塗装と家具に関連した知識を可能な限り発信して参りたいと思います。
本年もどうぞ、宜しくお願い致します。
それではまた。