9月30日 佐藤大文
こんにちわ。夏が終わりました。街路樹の木々がすっかり淋しい様相を見せ始めていますね。秋と冬は主に私の季節です。
そして9月も終わります。残すところ今年も残り3ヶ月。今思えば命短し夏の日々。いろいろありました…。
6月!!大雨が降りました。7月!!! …ッ。8月!!!!お盆休み。それ以外何も無かったですよね!!
相も変わらず私は家具を塗装します。時に難題にも出くわします。その日の体調や精神状態で仕上がりの優劣が決まってしまう場合もあります。それでも今のところは物理的な面で言えば深刻なトラブル無く、作業ができているようです。”繊細なアンティーク家具を扱っている”という緊張感は決して切らしてはいけないのです。いやトラブルはあれど、忘れてるだけかもしれませんが。
タイトルどおりです。こんなのがあります。
最近22世紀で限定販売されているらしいです。アンティーク仕様の「どこだかドア」。自立式です。ドラえもんのお土産だそうです。扇風機の風で倒れます。ポンコツですね。
お察しの方、そうです。マホガニー材にインレイが繊細で美しいコーナーキャビネットです。撮影は角度が大事ですね。
ガラスもアンティークガラスで中は生地で総張りします。
扉とフレーム脚のみが塗装され、内部は限定的に色入れをします。その際に生地を張る背板には色を入れてはいけません。クロスの生地にもよりますが、白く薄いものだと裏から黒みが透けたり、浸透したステインが湿度の影響で材から染み出てくるリスクも考えられます。よって、それを考慮した上で背板は外して作業しているのです。
ただし、背板を外した状態だと扉を開いた瞬時にガラスの重量に負けて即、倒れます。作業中の破損やケガの確率が格段に上昇します。序盤に申し上げたのはこういう意味なのです。
裏から見ると中の構造はこんな感じです。塗装作業者はただ、塗装すればいいというものではありません。弊社は分業制で作業を行います。塗装をするには構造を知り、木工が修復するパターンを追随しなければいけません。張物があるなら張る時の作業性、そして完了後の見え方、お客様が使用する上での利便性。
修復は多角的な視野で1つの家具を見れる目が求められる職業です。家具業界ではそれはきっと共通だと思います。ただ愚直に経験と思考を研鑽する以外に品質を求める術はございません。
口ではこう聞こえの良い事は申しますが、それでも仕上がりについてお客様からのお叱りを頂戴することもございます。
簡単ではないお仕事です。
ちなみに内部の手前上部は生地は張られないので色だけは入れておきます。見えないところでも中を覗き込めば見えてしまいますので。小さな気配りもまた必要です。
長くなりましたが、塗装の方法・技術以外にも心構えもあるというお話でした。
ちなみに、キャビネット類のように背中がベニヤで固定されている家具はベニヤ自体が構造体として成り立っています。ガラスや扉のフレームの重みで全体重のバランスがどうしても歪んでしまうのをベニヤの固定で矯正するのです。この詳細は木工の人が解説してくれる日がくるでしょう。
ちなみにこのキャビネットは御成約済みです。ありがとうございました。
日に増して朝晩の冷え込みが強くなってまいりました。皆様、うたた寝には気をつけましょう。
それではまた。