8月24日 佐藤大文
改めまして、塗装の佐藤です。
皆様、今年の夏季休暇はいかがお過ごしでしたでしょうか。
まだ夏が終わってない方、これから夏を満喫される方、いらっしゃると思います。
私の夏は雨風と共に気づかぬうちに流れていきました。お金も流れていきました。後悔と若さの抜け殻が残りました。
もう8月も今週を残してあと五日ですね…。そろそろ雪が降りそうですね!!!
さて、先月の続きです。覚えておいででしょうか。そう、塗装の修復塗装その続編で御座います。
ちょっと長くなりそうですが、流し目でご覧くださいませ。
左の画像。これはオリジナルの状態ですが、入荷時の梱包材が塗装面と熱で癒着して跡がついています。これを除けば良好なコンディションと判断されるアイテムがいくつもあります。
以前は全て剥離再塗装をしておりましたが近年ではオリジナルの風合いを活かした塗装を可能な限り行っております。今回はまさにうってつけのコンディションのバタフライテーブルを題材にしましょう。
今回の凹凸は非常に浅く、アルコールの試し拭きをしたところ落ち方が強かったのでメンテナンス剤を使う事にしました。前回紹介したこの白いボトルの液体。メンテナンス用の軽いリムーバー(剥離溶剤)です。液体クレンザーに近いかもしれません。メンテナンス剤は成分の全貌は不明ですが、独特な臭気を放つ白乳色の溶剤で中に微粒子の研磨剤が配合されており、それを布に含ませ塗装面を拭き取って乾燥後、ニスを新たに再塗装するという使い方をするものだそうです。
跡がついた塗装面は実は単純に言えば極小の凹凸がついている状態といえます。つまり凹凸の凸を凹の深さまで削る、または剥離をすれば均等に光が反射し、平面に見えるわけですね。というわけで、二枚目の道具ペアで作業に入ります。
解説は簡単です。単純にグラスウールにリムーバーを含ませ全体に馴染ませる様に円を描きながらこすって、全体をウェース(布)でふき取ります。それを何度も繰り返して塗装面の跡がある程度目立たなくなったら少し天板を乾燥させます。
20分くらい待てば十分でしょう。噂のケンマロンで天板を一定の力量と動作で削って溶かした天板面を慣らしてあげます。これによってまた塗装面を均一に乗せることができるわけですね。
つまり、このワンセットを作業するのです。
1…※溶剤で天板をこする→ふき取る→※に戻る ~~痕が取れたら2へ進む。
2…天板の乾燥→ケンマロンで削る→粉をふき取る→塗装する→乾燥を待つ
<3…乾燥後、塗装面が落ち着いてくるとニスは沈んで塗りたての時より厚さが変わります。その時、うっすらと消えきっていない痕が見える場合がありますので、その場合は 2 に戻って作業をリピートします。油断はいけないのです。>
さて、その作業を終えるとこうなります。これで元の質感を保ったまま塗装が成功しました。良かったですね。
オマケです。これはプランツスタンドですが、雨のシミかとは思いますが表面が荒れています。これも全く同じケースなので同じように作業するとこんなに綺麗になります。アイテムによってはオリジナルの塗装面の方が経年によって定着と馴染みが良く、剥がして再塗装するより強度があったりします。その見極めも経験の数が教えてくれます。一朝一夕ではわかるようでわからない事がたくさんあるのが塗装なのです。
長々とひたすら解説をして参りましたがいかがでしたでしょうか。眼精疲労にはブドウを皮ごと食べるといいらしいです。
巨峰はダメです。おなかを壊します。小さい粒のブドウです。今が旬です。オイシイです。
ポリフェノ~ルを摂りましょう。そしてまた当ブログを宜しく御願い致します。
海に行かない。肌を焼かない。山に登らない。祭りに行かない。花火を見ない。夏にときめかない。半ズボンが一枚もない。
そんな佐藤の夏は今年も終わりました。来世の夏に期待したいと思います。
皆様、季節の節目にはご用心くださいませ。
それではまた。