10月25日 佐藤大文
突然ですがある日の塗料庫での小話を一つ。
日々の作業を黙々とこなしていると知らず知らずに気が滅入ったり、逆に荒立ってしまう事もしばしば。
そんな荒んだ私の心を癒すべく彼はやってきたのです。芸術の秋だけに、偶然というアートを象って現れたのです。
髪型は尖がっていても丸みを帯びた柔和な顔つき。晴れ晴れとしながらもどこか憂いのある表情を浮かべながら斜め45度の傾きで空を見上げています。
「少年よ。空を見ろ、うつむかないでさ。俺がいる、君がいる、太陽が呼んでる」 …そんな言葉をかけられた気分になって暗い塗料庫の上を見上げました。何にもなかったです。
作業中にもこんな楽しい偶然の産物が見られるのも手仕事の中ならではでしょうか。
きっとリーゼントの彼は「乱れた心では良い仕上がりの塗装はできない。優しさを以って家具に接するんだ」そう言いたかったのでしょう。今年も残るところ2ヵ月僅か。気を引き締めたいところです。
ありがとう、リーゼント先輩。
丸みをといえば。今週店頭に陳列予定のドローリーフテーブルを一つ紹介しましょう。
当工房のストックヤードには多数のドローテーブルがありますが、この天板サイズと脚のフォルムを持った商品はなかなかありません。特にストレッチャー(二本脚の間に繋がる板材)の形状や、通称ブルボウズと呼ばれる挽き物をアクセントとした装飾を持つ二本脚の大体は立体的な彫り込みがしてあるものが一般的に多く見られます。
ですが写真をご覧の通り、このブルボウズはまんまるいのです。見事な満月です。某キャンディーのコーラ味を彷彿とさせます。俗称でメロンバルブとも呼ばれますがまさにメロンです。
非常にシンプルですが球体に反射する光の具合が実に良い雰囲気を醸し出していると思います。色味もそこそこ濃すぎず明るすぎず仕上がっており、どのお部屋にも合わせ易いかと存じます。是非、目黒店にお越しの際にはご覧下さいませ。
一足早くクリスマスに備えてキャンドルスタンドなんかもお探しになられてはいかがでしょうか。
あとちなみに私は来月で27歳になります。少年ではありません。
それではまた。