12月7日 駒村佐和子
今日、大事な友人がニューヨークへ発ってしまいました。
出張ではなく転勤でいつ戻るのか分からないとの事。私より幾らか年若い人ですが自分では出会う事の無かった本を沢山教えてくれた人でした。
彼と、陽気な美人で小さな男の子のお母さん(実は大変な遊び人!)という魅力的な友人と私というごちゃまぜな取り合わせで本の感想を語り合う『読書の会』というのを開いた事もありました。それぞれ出産やら仕事やらの都合もあり、回を重ねる事は叶いませんでしたが必ずやいつかまた。
古美術を扱う仕事をしている彼は日本の美しいものを沢山知っているはずなのですが、私は自分の見つけた日本の『良いもの』をあちらに送ろうと思っています。
格やらセンスやら『物を贈る』という事は中々考えてしまうものですが…誰が誰に何を選ぶのか?その心と個性のフィルターを大事にしてくれる人でもあります。
『ただ知っている』という事はたいして重要では無いのかもしれません。
皆で飲んでいる最中に突然姿を消して電話をすれば歌舞伎町にいた…(恵比寿で飲んでたのに?!)という事もあるおっとりした彼。
もしかすると糸の切れた凧のようにどんどん遠くへ行ってしまうのかもしれません。
私の住む世界はまだまだ小さく持ち物も少ない…彼のようにそれを教えてくれる人や物に今日まで沢山出会い、この先も出会い続けるのだと思います。
誰かの旅立ちは最近増えた事で、感傷的な事でもないはずが…唯一私の下の名前に“さん”をつけて呼んでくれる礼儀正しい男の子の不在をやはりたまらなく淋しく思うのでした。