7月9日 渡邊 宣正
むかし両国の川開きはたいへんに賑わったようです。
花火の見物で身も動かなくなるほどの混雑ですが、きれいな花火があがりますと、
「たあまあ屋あ~」
皆が夢中で空の花に見とれるんですな。
でも、花火をほめるのもそれはなかなかむずかしそうで、
「たあ~ まあ~ 屋あ~ ~い」
咲いた花火が川面に落ちるまで、なが~くほめるのが本当のほめかたなんだそうです。
一方、みじかいのが役者のほめかたのようで。
歌舞伎だと音羽屋は、「とわやっ」
「おとわや」をみじかくささっと「とわやっ」とかけるんです。
「お」は発音しないだけで口の中では言うのです。「(お)とわやっ!」
花火のように「お~とお~わ~、、、」
これでは芝居になりません。
同じく成田屋の場合、「りたやっ」
「たや!」でも粋です。
役者のように花火をほめると、
「まやっ」
花火が空に咲いたまま落ちてこなかったりして。