GEOGRAPHICA

初めての木挽き

2010/10/05 | スタッフの日常

10月5日 渡邊 宣正

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葛飾北斎 富嶽三十六景 遠江山中 
人々の生活や作業風景に富士山を望む、生き生きとした描写と大胆にも計算された構図に注目の1枚ですが、今回は作者作品の批評ではなく木挽きのお話ですよ。
家具屋なので鋸で木を切る事には馴染みですが、普段切るのは材木。製材された板です。丸太を切り出す木挽きとなると経験は無く未知なので、イメージは遠い昔のこの1枚に飛躍してしまいます。

長く厳しい暑かった夏でしたが、今はすっかり秋。
金木犀の香りに誘われて辿り着いたのは、次大夫堀公園民家園。
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江戸の用水路を整備して当時の民家を移築した世田谷喜多見の施設ですが、いやいやどうも失礼しました。これほどのものとは、、、驚き感動のその内容。当時の人びと、生活、その作業などをありがちな人形や物を展示するだけで紹介するのではなく、再現ではない現在も生きている文化として知る事が出来ます。民家の囲炉裏には実際に火が焚かれ、数々の道具に触れることも出来る。体感できるんです。水路では親子がザリガニ釣りに熱中し、庭で子供達が駆けている。普段から蚕から生糸を紡いだり、藍染め、鍛冶仕事など様々な体験が出来る催しが行われているようで、どれも興味津々関心の嬉しさなんである。

さて、木挽き。公園の一画で木工作業する旦那衆。
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スギの丸太と初めて手にする大きな鋸。
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大鋸(オガ)。挽いて出るのが大鋸屑。オガクズ!知りませんでした!!刃の厚みは3~4mm!刃渡りが60cm!! それ以上か?
挽くより目立てに時間がかかるそうで、焼き入れは刃先だけだそうです。流石によく挽けます。
この材は今後に催される蕎麦打ち教室の道具とテーブルの為に使用するそうです。これまた興味津々。
こちらはイチョウ。
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これは大鋸で縦挽き。大鋸屑は美しい黄色で良い香り。(スギは緋色でした。)
この材はまな板となり11月の手作り市で販売されるそうです。

古代、八百万に神々しい命を感じた日本人。この木にも恵みを願い自然に感謝しようと思った。また挽きに行きます。