4月19日 朝岡工晴
十九世紀の上流階級の家では、たいていスモーキングルームを設えており
男性同士でその部屋に集まっておしゃべりしていたそうです。
当時は、スモーキングルームを
トルコ風に造作することが流行していました。
moorish styleです。
当時の資料を見てみると、家具やインテリア小物のみならず
壁面から天井に至るまで、
室内丸ごと移築でもしたのかと思える程に本格的なもの。
当時は良質のタバコがトルコより輸入されており、
原産地の雰囲気をそのまま取り入れることで、喫煙する行為だけでなく
エキゾチックな感覚をも そこで満足させていたようです。
そのような上流階級のニーズに合わせて、
様々なmoorishな家具が造られていたということでしょう。
このように、品物の輸出国とインテリアを結びつけたやり方といえば
ティーテーブルを中国風にしたり、
陶器を飾る為の部屋を中国のイメージで飾り付けたり、、
シノワズリ は 広く知られているスタイルです。
家具のディティールなどからその意味や当時の様子を伺い知ることは
アンティークならではの楽しみ方の一つですね。